平成22年4月より京都工芸繊維大学大学院 工芸科学研究科 先端ファイブロ科学専攻の研究室に社員を派遣し共同研究を行っています。研究テーマは「高品位ブラシの開発に関する研究」とし、経験に根差さられた職人技術を定量化し、技術を次世代に承継すると共に、そこに内在する技術を科学的に解析することで新たなものづくりの礎を見つけています。お客様のご要望に瞬時に応えられる技術基盤と人のネットワークがあります。
ブラシ製造工程の中で最も重要とされる毛揉み技術(繊維束のあらゆる部分で混合比を一定にする技術)を科学的手法を用いて解析し、これまで熟練職人による感覚に頼っていた毛揉み工程進捗率を解析することに世界で初めて成功しました。また、三次元動作解析装置を用いて熟練者と非熟練者の動作を解析し、非熟練者の技術習得時間の短縮を試みました。
毛揉みとは ・・・・>「性質の違う原材料を多種混ぜ合わせること」
高性能な筆を製造するためには、性質の違う原材料を多種混ぜ合わせる必要があります。それにより単一原材料では実現できない性能を発揮することが可能になります。
しかし、それら原材料が一本の筆の中で均一に混ざっていないと、性能にバラつきが出て品質が安定しないばかりか、十分な性能が発揮されません。
そこで熟練職人による手作業の毛揉み技術によって、多種類の原材料を均一的に分布させることが必要になります。
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<学会発表>
第12回SAMPE先端材料技術国際会議 (シンポジウム・展示会) 東京ファッションタウンビル
12th Japan International SAMPE Symposium & Exhibition(JISSE-12)
・Highly cultured brush manufactured by traditional brush mixing technique “KEMOMI”JISSE 2011
「筆製造工程における毛もみ技術の解析」Analysis of KEMOMI process during brush manufacturing
4th International Conference on Applied Human Factors and Ergonomics 2012 San Francisco (http://www.ahfe2012.org/)
・Highly cultured brush manufactured by traditional brush mixing technique “KEMOMI”
・Validity verification of coloring recreation taken place at pay nursing home
近年、ペンの使用率増加や家庭用パソコンの普及などの生活環境の変化により、
残念ながら筆ペンの需要は減少傾向にありました。
若い世代にアンケート調査を実施すると、
「筆ペンは難しくて緊張するから使いたくない」という回答が多数を占めました。
その結果から逆転の発想をおこない、緊張というマイナスをプラスに変えることが出来ないかというところからこの研究は始まりました。そして高齢者施設でのレクリエーションの一環として弊社筆ペンを使用した塗り絵を実施しました。近年、高齢化が進み、認知症患者数の増加など、高齢者問題がメディアでも取り上げられています。そこで脳の働きを活性化させ認知症の予防に効果があるとされている塗り絵に着目し、有料老人ホーム入居者に対するレクリエーションの一環として実施し、塗り絵作業時の筆記具としてより有効な筆記具を4種類(クレパス・色鉛筆・マジックペン・カラー筆ペン)の中から検討しました。すると4種類の筆記具の中で筆ペンのみが安静時よりリラックス度が低い結果となりました。つまり、脳が刺激を受けて緊張し、活性化していたのです。その後、高齢者施設で実験を行い、塗り絵レクリエーション実施前後でナースコールと転倒事故回数を記録し、カラー筆ペンを使った塗り絵が入居者に及ぼす影響を分析しました。
その結果、塗り絵を含むレクリエーションの回数を増やすと、1ヶ月平均で、施設内での転倒事故は57%減少、ナースコールの回数は35%減少したのです。ナースコールが減少したことで、介護ヘルパーさんがナースコールの対応にかかる時間が短縮されたことで、施設運営者の方からも喜びの声を聴くことが出来ました。
これらの結果をふまえて実験を実施させて頂いたスーパーコート様においては、全施設での導入が決定しました。
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<学会発表>
■平成23年度日本人間工学会関西支部大会 神戸大学
・高品位介護における塗り絵レクリエーション用カラー筆ペンの研究開発
Development of color brush pen used during recreation at senior care home
・筆製造工程における毛もみ技術の解析
Analysis of KEMOMI process during brush manufacturing
■平成22年度日本人間工学会関西支部大会 大阪工業大学
・介護施設入居者に対してのレクリエーション~塗り絵~
55th Annual Meeting of the Human Factors and Ergonomics Society
Las Vaga(https://www.hfes.org/web/Default.aspx)
・Recreation to nursing facilities tenant
<過去の実績>
■サイエンスエキスポ関西2011出展
http://www.sia-osaka.gr.jp/sek2011/
2011年10月19~21日
脳波筆ペンの初お目見え
■2011 Annual Meeting出席
http://www.hfes.org/Web/HFESMeetings/2011annualmeeting.html
55th Annual Meeting of the Human Factors and Ergonomics Society
September 19-23, 2011
■第31回事業化交流マッチング総合展2009 出展
http://igyoushu-group.com/
2009年11月5~6日
We Love Brush&カラー筆ペン「五感」の初お目見え
■第4回京都文化ベンチャーコンペティション 3位入賞&京都経済界賞受賞
http://kyotobunka-v.net/index.html